室外機の天敵「太陽」〜日除で性能はどこまで変わる?〜

エアコンは、「部屋の空気を冷やしたり温めたりする機械」と思われがちですが、実は 「熱を運ぶ機械」 です。冷房のときは、部屋の中の熱を外へ逃がし、暖房のときは、外の空気にある熱を部屋の中へ運びます。
この“熱の引っ越し役”をしているのが、室外機。
エアコンが動いているあいだ、室外機はずっと働き続けています。
室外機が、実はとてもがんばっている
エアコンが使う電気の多くは、室外機の中にある コンプレッサー(圧縮機) を動かすために使われています。
コンプレッサーは、冷媒というガスを動かして熱を運ぶ心臓部。この部分に負担がかかるほど、エアコンは余計に電気を使うようになります。

太陽光が当たると、室外機はどれくらい暑くなる?
エアコンは、かなり暑い環境でも動くように作られています。
JIS規格では、外気温43℃でも運転できることが求められており、多くのメーカーでは43〜50℃以上に耐えられる設計になっています。
ただしこれは「壊れない」という話。
効率よく動けるかどうかは別の問題です。
近年の夏はとても厳しく2025年8月には、日中の最高気温:38.5℃ / 平均気温:34.4℃という日もありました。
この状態で、直射日光をまともに受けると、室外機の表面温度は55〜65℃ほど まで上がることがあります。

出典:国土交通省気象庁:「東京(東京都) 日最高気温の月平均」
日除をすると、どれくらい変わる?
では、室外機に日除をしたらどうなるのでしょうか。環境省が公開している資料では、外気温が約34℃の条件で、次のような差が確認されています。
日除(カバー)あり
表面温度:約40℃ / 消費電力:約2.1kW
日除(カバー)なし
表面温度:約58℃ / 消費電力:約2.6kW
日除をすることで、表面温度が 約18℃下がり、消費電力もおよそ2割ほど増えにくくなったことがわかります。

電気代にすると、どれくらいの差?
このデータをもとに、電気代を「1kWh=27円」で計算してみます。
※ここでは「この出力で1時間動いた場合」の目安です。

1時間で見ると小さな差ですが、これが毎日・毎月続くと、積み重なっていきます。
日除けは、ちゃんと意味がある
室外機が強い太陽光を受け続けると、本体の表面温度が上がり、内部のコンプレッサーに余計な負担がかかってしまいます。その結果、エアコンは必要以上にがんばることになり、電力を多く使ってしまいます。
日除けは、こうした 直射日光による過度な温度上昇を抑える という点で、室外機の負荷を軽くする、効果的な方法のひとつです。
この点について、アメリカ合衆国エネルギー省では、室外機に日除をすることで、条件が合えば 最大で約10%ほど効率がよくなる可能性があると紹介されています。
これは「必ず10%よくなる」という意味ではありません。
※あくまで、日除の位置、風通し、 設置環境がうまくそろった場合の上限の目安です。
日除けは“魔法”ではない
日除けは、電気代を一気に下げる裏ワザではなく「ムダに増えてしまう電力を止めるための対策」です。
そして、日除で防げるのは、あくまで太陽光による直接の熱です。
外気温そのものが高い場合や、コンクリートに囲まれて熱がこもりやすい環境、排気口前のものが置いてある、室外機の台数が多い、サイズが大きいなど、条件が悪ければ日除けをしても室外機の温度上昇を完全に防ぐことは難しくなります。
そうした環境で検討したいのが、室外機そのものが太陽光の影響を受けにくくする対策です。

次の選択肢としての「テラノペイント」
遮熱塗料「テラノペイント」は、室外機の表面に塗布することで、太陽光による熱の侵入を抑え、温度の上昇をやわらかくする方法です。
アクリルシリコン樹脂による高い耐候性に加え、雨で汚れが流れ落ちやすい セルフクリーニング性 も備えています。
そのため、長い期間にわたって遮熱効果を保ちやすい という点も、大きなメリットです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
