【2023年6月】街中で見かける虫の生態|益虫から危険な外来種まで網羅
コンクリートや岩の上で動く小さな赤い点のような虫。街を歩いていると突然視界に現れる小さい虫の大群。数えればキリのないくらい出くわした名前も知らない虫たち。実は自然界の一部として生態系を構成する大切な存在なのです。
人間にとって有益な虫もいれば、害を及ぼす虫もいます。
今回のコラムでは、名前も知らない虫たちの名前とその生態を詳しく解説します。
まちで見かける名前の知らない虫
視界に現れる小さな白い点の集まり
春の始まりとともに、姿を見せる虫たち。暖かい陽気に包まれて気持ちよく歩いている最中、唐突に視界に現れる小さな白い点の集まり。
この白い点の正体は「ユスリカ」。
暖かな春頃になると現れる虫で、ユスリカという名前ですが血を吸うなど人に害を与えるようなことはしません。ユスリカの特徴は、暑い季節になるとオスが大量に集まり羽音の大合唱でメスを呼び寄せる「蚊柱」つくります。
その「蚊柱」に気づかないで入ってしまい不快な思いをされた方も多いと思いますが、実は自然界にとって欠かせない存在です。ユスリカは河川の有害物質を除去して水質を改善する役目や、他の動物の餌としての役割など様々な働きをします。
自然界にとって大切な存在です。
コンクリートの上で動く赤い点
日当たりのいい日に、コンクリート製のベンチや石でできた花壇などの上で少しずつ移動する赤い点。
この赤い点の正体は「タカラダニ」。
このタカラダニはコンクリートや岩石の上などで多く見られる虫です。人を刺したりすることはありませんが、潰した時に出る体液に触れると皮疹がでる可能性があるので注意が必要です。
そんなタカラダニも人間にとっていい働きをしてくれる益虫です。
花粉や自分より小さな昆虫を主食としており、花や野菜の天敵であるアブラムシを食べてくれます。
まちで見かける名前の知らない虫たちも、自然界に欠かせない役割を果たしています。
反面、まちで見かけることが多くなった危険な虫もいます。
日本各地で目撃されるようになった危険な外来種
セアカゴケグモ
セアカゴケグモは、日本の侵略的外来種ワースト100に選出されている非常に危険な存在です。1995年に大阪で発見されてから急速に分布を拡大しています。
セアカゴケグモは毒を持っていて咬まれると針で刺すような痛みを感じます。噛まれた部分は赤く腫れ上がり、だんだんと痛みが強くなります。その程度の症状で済む方がほとんどですが、抵抗力の弱い子どもやお年寄りが噛まれると稀に重症化する危険性があります。発熱、発汗、頭痛、嘔吐、下痢、発疹 などの症状が現れます。
温暖な気候を好むセアカゴケグモですが、寒さにも耐えることでき1年を通して活動をしています。主に屋内や人工物の隙間に巣を作りますが、林や草原などどこにでもいます。
もし見かけても絶対に近づかないようにしましょう。
サシガメ
サシガメは、カブトムシやクワガタムシと同じ甲虫目に属する虫です。昭和初期に九州に移入され、今では北海道から沖縄まで広く分布しています。
日本の侵略的外来種ワースト100には選出されていないものの非常に危険な虫です。
頭部には大きな顎があり、木の枝や葉も切れるので大変強力です。後ろ足には鋭い棘があり、敵に襲われたときにはこれで反撃します。しかし、この棘には毒があります。
この棘に刺されると激しい痛みや炎症、発熱、吐き気などの症状が現れます。特にアレルギー体質の人や小さな子供は重篤な場合もあります。サシガメから人間を襲うことはありませんが、触ったり捕まえたりしたときに刺される可能性があるので、見かけても絶対に近づかないようにしましょう。
見たことのない虫には近づかないように
毒を持った虫や人を刺す虫には、実は色や形などの共通点があります。
以下のような特徴がある虫は要注意です。
これらの特徴はあくまで目安で必ずしも毒を持っているとは限りません。また、これらの特徴がなくてもヒアリなど毒を持っている虫もいます。
見た目だけでは判断せず身近にいる毒虫の種類や生態を把握しておくことが大切ですね。